研究会情報
2012年度
日本子ども学会では、学術集会以外にも会員の交流の機会を増やし、もっと頻繁に情報を交換し、学び合い、子ども学について語り合いたいという会員の声を受け、本年度より「子ども学カフェ」を開催することになりました。そして2012年5月12日に、第1回として、本学会理事で進化生物学者の長谷川真理子先生を迎え、「進化生物学から見た"子ども"と"思春期"」と題する講演で好評を博しました。
つづく第2回として、本学会理事で研究・開発委員長を勤める安藤寿康が行動遺伝学と教育学の視点から、タブー視されがちな能力の遺伝の問題にあえて切り込んで、生物学的存在としての人間の子どもが、どのように文化と出会い成長するのか、その中で教育はどのような役割を果たすのかについて問いかけます。
学問の枠にとらわれずに、新たな子どものとらえ方を知りたいと思われている皆さん、ぜひ子ども学カフェにご参加ください。
テーマ:遺伝子は「不都合な真実」か?
講 師:安藤寿康(慶應義塾大学教授)
「すべての能力は遺伝的である」-行動遺伝学の成果によって、わたしたちはこの「不都合な真実」に直面しなければならなくなりました。このことは、とくに「子ども」にとって何を意味するのでしょうか。ひとりひとりが異なる未知の遺伝的資質を持って生まれ、生涯を通じて文化に適応し、学習をし続けながら、社会のダイナミズムにかかわっていることを見つめたとき、ヒトに備わった重要な適応方略である「教育」の意味を問い直す必要性に迫られます。「自由」や「平等」の問題も射程に入れながら、子どもと教育について紹介。
日時:2013年2月23日(土)14:30~16:30
場所:慶應義塾大学(三田キャンパス)大学院棟1階、313番教室
日本子ども学会主催「子ども学カフェ」第1回講演会(終了しました)
さて、第1回目の講師は、進化生物学者の長谷川眞理子先生です。長谷川先生は進化生物学の視点から、人間の子どものユニークさについて注目されています。他の動物たちに比べ、圧倒的に長い子ども期を経て成体になるヒト。子ども期にはヒト固有の性質が如実に現れるといいます。未熟な存在としての子どもという考え方とは異なる、進化生物的なアプローチは大変刺激的です。
従来の学問の枠にとらわれずに、新たな子どものとらえ方を知りたいと思われている皆さん、ぜひ長谷川先生の子ども学カフェにご参加ください。
テーマ:進化生物学から見た"子ども"と"思春期"
講 師:長谷川眞理子氏(総合研究大学院大学教授)
ヒトという生物は、脳重が体重の2パーセントにも達する、寿命が非常に長い、蓄積的で発展的な文化を持つなど、他の生物には見られないいくつもの特徴を持っている。離乳はしたが決して一人前ではない「子ども期」という生活史の段階を持つことも、そのような特徴の一つである。これらの特徴はみな、緊密に関連しあっている。「子ども期」がどのように特殊であるのかを、その次の生活史段階である「思春期」と合わせて検討。
日時:2012年5月12日(土)13:00~14:30
場所:慶應義塾大学(三田キャンパス)南校舎6階、465番教室