チャイルド・サイエンス懸賞エッセイ<2005年度 受賞者>
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テーマ:「子どもの不思議」
賞:
子ども学大賞 3万円
優秀賞 1万円
奨励賞 図書券5000円
2005年度受賞者:
子ども学大賞 該当なし
優秀賞 該当なし
奨励賞
「箱から生まれる私の子ども学~ダンボール箱を見つけると入りたがる子どもたち―どうして?~」
松本亮子(ウィリアムアンドメアリー大学MA in Education, School Psychology and Counseling Education)
【講評】
「段ボール箱を見つけると、入りたがる子どもたち」という着眼点はオリジナリティがあって、とてもおもしろい。それだけに、考察を深めるところで、既存の発達心理学へのこだわりが見られて、独自性が薄まってしまったのが惜しい。段ボール遊びを使った発達支援を支えるプログラムは、「応援したい」ではなく、ぜひ率先して開発に取り組んでいただきたいと思う。
「子どもの不思議 ~「甘やかす」とは何か~」
岩佐淳子(主婦・双葉会シカゴ日本語補習校講師)
【講評】
「甘やかし」は価値観を表す概念であり、主観に傾きやすい。そのために学術的な研究としては避けがちなテーマだ。しかし、子育て現場では、具体的に「甘やかし」による弊害は生じているので、そこにあえて目を投じるのは意義あることだと思う。ただ、「甘やかし」という概念のあいまいさや定義の難しさへの配慮はこの論の大前提であり、先行研究の文献に目を通すなどの努力がもう少し必要だったように思われる。
「子どもの不思議を観察することから生まれるインタフェースデザインの提案」
佐藤朝美(東京大学大学院 学際情報学府)
【講評】
「散らかす」という何でもない行動への着眼点が独自であり、子どもの「不思議」な行動の中に人間の普遍的な傾向を見出し、それをもとにインタフェースやコンテンツを開発する発想は、子ども学の視点をよく体現していると思う。しかし、現代のヒューマンインタフェースの研究者たちがすでに多様な領域で先進的な研究開発を進めているだけに、発想を具体的な研究事例や成果に結び付けてもらえれば、魅力は増したと思う。