小林登「子ども学」賞について
第3回(2025年)受賞者紹介
認定NPO 法人「芸術と遊び創造協会」受賞者インタビュー
■受賞者プロフィール・業績
認定NPO 法人「芸術と遊び創造協会」は、芸術と遊びを通じて、多世代がつながり合う心豊かな社会づくりを目指し、「東京おもちゃ美術館」を運営し、乳幼児から高齢者までが木のおもちゃや遊びを体験できる場を提供している。 その活動は日本各地へと広がり、2025年現在で14箇所でおもちゃ美術館を展開している。さらに、全国で「おもちゃコンサルタント」や「木育インストラクター」などの人材育成を行い、病児支援、グッド・トイ認定制度やウッドスタートプログラムなど多方面にわたり、遊び文化の普及と継承を進めている。
■贈賞理由
認定NPO法人「芸術と遊び創造協会」の活動・業績について、下記3つの視点で評価した。1)子ども学への貢献度
同協会の活動は、「遊び」と「芸術」を通じた教育・福祉・医療・地域が連携する「チャイルド・ケアリング・デザイン」の具現化であり、小林登先生が提唱した「子ども学」の理念の社会的実践例として評価した。具体的には、東京おもちゃ美術館を拠点にした多世代交流、地域材を活用した持続可能な「木育」の推進など、既存の枠を超えた、子ども期の豊かな生活環境を包括的に再設計する先見的な活動を展開されている。まさに「子ども学」の理念を社会に根付かせる活動として評価した。
2)社会への波及効果の大きさ
「遊び」と「芸術」で多世代・地域交流を促す体験型美術館として「東京おもちゃ美術館」を運営。全国13の姉妹館と共に、おもちゃを通じた創造的な繋がりを築き、地域活性化にも貢献している。おもちゃコンサルタント育成や、年間1,000家族を助ける難病児支援「ホスピタル・トイ・キャラバン」や全国で移動開催する「木育キャラバン」などおもちゃと遊びによる社会のエンパワメントを進め、持続可能な活動を広く進めていることから、社会的波及効果の大きさを認める。
3)研究業績や活動の卓越性
創設者親子2代とその後継者による65年間のおもちゃ研究実績をもつ「芸術と遊び創造協会」は、上記のような卓越した実績をもち、その活動は全国に刺激を与えたばかりか、日本子ども学会との「世界おもちゃサミット」の共同開催など、研究的にも国際的なひろがりと影響力を発揮してきた。
以上により認定NPO法人「芸術と遊び創造協会」を小林登「子ども学」賞に相応しいものとして選定し、第3回小林登「子ども学」賞を贈呈する。
■受賞者挨拶
この度は、栄誉ある日本子ども学会の小林登「子ども学賞」というすばらしい賞を賜り、心より感謝申し上げます。長年にわたり、子どもの健やかな育ちと人と人とのつながりを「芸術」と「遊び」を通して支える私たちの取り組みを評価いただきましたことは、全国の5000人を超える会員やおもちゃ学芸員などの仲間や支援者にとっても大きな励ましとなります。当協会は、東京おもちゃ美術館をはじめ、全国14か所におもちゃ美術館を創設し、芸術と遊びを通じた「木育」「高齢者福祉」「保育者育成」「難病児支援」など、世代を超えたウエルビーイングの循環を目指して活動してまいりました。おもちゃや遊びは、単なる娯楽ではなく、人の心をひらき、社会をつなぐ力を持っています。その力を信じ、地域の人々とともに歩み続けてきた70年余りの年月が、今回の受賞につながったものと深く感謝しております。
小林先生とご一緒した中国は長沙での研究会の折に、ホテルのレストランで「多田さん、おもちゃの領域はインターナショナルの会議はあるのですか?」「無いのであればあなたが開きなさい!」と背中を押していただいたことがありました。そして、その2年後に子ども学会と共催で早稲田大学国際会議場にて「世界おもちゃサミット」開催に漕ぎつけることができたのです。
この賞の名を冠する小林登先生が提唱された「子どもの最善の利益」「子どもは未来」という理念は、私たちの活動の根幹にあります。これからも、すべての子どもが安心して遊び、学び、愛される社会の実現を目指し、志を新たに努力を重ねてまいります。
最後に、本賞の選考に関わられた皆様、日本子ども学会の皆様に、心より御礼申し上げます。
多田千尋(認定NPO法人 芸術と遊び創造協会理事長)

■関連情報
●第3回受賞者インタビュー(2025.09)●Photo album:ありし日の小林登先生(2023.03)
●小林登「子ども学」賞 創設の喜び (2023.09)
●小林登「子ども学」賞の誕生とその未来(2023.03)
●小林登先生の大学時代の思い出(2023.03)





