リレートーク

第5回 神戸松蔭女子学院大学人間科学部子ども発達学科

                     奥 美佐子(子ども発達学科 学科長・教授)
                           


1.学科紹介


 神戸松蔭女子学院大学人間科学部子ども発達学科は、2008年に開設されました。子ども発達学科では、「子どもに寄り添い、個性を引き出す良きリーダー」を育成することを目標に、人間理解について心理学や教育学・保育学の専門的知識と具体的な技能、教育・保育現場で応用可能な知識・技能を習得し、教育・保育現場、家庭、地域における子どもの教育・保育を推進できる人材の育成に力を注いでいます。2016年度入学生より、1年次に基礎をしっかり学び、2年次より幼児教育コース・初等教育コースの2コースから方向を選択して、将来の進路を明確にし、専門的に深い学びに繋ぐことができるようになります。

 子どもを取り巻く環境は変化の連続です。今、求められているのは、環境の変化をとらえる力を発揮できる豊かな感性を身に着け、環境の変化に対応しつつ子どもたちと応答的にかかわることができる人材です。保育士資格、幼稚園・小学校教諭一種免許状の取得をめざしながら、「心理」や「発達」の領域、「科学」や「芸術」の領域からも総合的に保育・教育にアプローチでき、子どもの成長を後押しする専門知識と実践力、そして何より、教育者としての情熱を身につけられるよう、細やかな指導を学科の教職員一同日々取り組んでいます。


2.実践空間


 2008年4月に子ども発達学科開設と同時に、神戸市の助成を受けた学内のコミュニティ・ルームである広場型子育て支援フリースペース「まつぼっくり」を開設しました。地域の親子を対象に一般開放しているこのコミュニティ・ルームでは、本学科の教員が講演やワークショップなど「体験型親子講座」を開催しています。専門の保育士が常駐して子育てをサポートするとともに、授業やボランティア登録した学生が1年次から乳幼児を含む子どもと保護者の方々と触れ合う機会が持たれます。子ども発達学科の学生だけでなく、英語学科の学生と教員による「英語の絵本の読み聞かせ」を今年度から開始し、取り組みは全学的に広がっています。 

 2015年4月には併設園である幼保連携型こども園「松蔭おかもと保育園」が開園しました。子ども発達実習の見学施設として、実習の場として2015年度からの活用が予定されています。また、卒業生が保育教諭として就職しており、在学生がボランティアなどにより乳幼児との実際的な関わりや、先輩保育教諭から生きた保育を共に学ぶ場ともなっています。


3.授業紹介


 子ども発達学科の授業展開のうち、2例を紹介いたします。

 海外教育実習では、オーストラリアの幼児教育施設などを見学します。海外の子どもと触れ合い、多様な教育のあり方を感じとります。世界の教育の実態や制度について知識を広げることを目的に、3年次の希望者を対象に海外教育実習を実施しています。オーストラリアのアデレードに行き、小学校、幼稚園、幼児教室、現地の日本人学校まで、9日間で実にさまざまな教育施設を訪問して、海外の教育実情や価値観に触れることができます。学生たちは言葉の壁を超え、現地の幼児たちとの触れ合いを楽しめるのも魅力で、参加した学生は広い視野と自信を得ます。

 「芸術領域」から学生の感性と表現力を培う試みとして美術系授業と音楽系授業の表現のコラボレーションを試みています。現在試みているのは、第一の方向は多様な表現を演劇などのような形に総合するのではなく、美術系の授業で音の要素を使って描画表現をしたものを音楽系の授業で音を読み取るなど音や色のように限られた要素をメディアとして表現できることを理解できるような取り組みです。第二の方向は自然の音など、同じ素材を音楽表現と美術表現に表し、表現方法による現れ方の相違を確認する取り組みです。教員の共同研究として現在も実践を継続しており、また1、2年次にこれらの授業を経験した学生が、卒業研究に音を描画に表現する試みや音を立体に表現する試みとして結実させたことはコラボレーションの成果であり、子どもの表現理解につながると考えられます。

 これらはグローバルなスタンスで、また「芸術」の領域から総合的に保育・教育にアプローチでき、子どもの成長を後押しする専門知識と実践力を身に着けたこれからの保育者・教育者養成に必要な学びではないでしょうか。




神戸松蔭女子学院大学人間科学部子ども発達学科
住所:兵庫県神戸市灘区篠原伯母野山町1-2-1
HP:http://www.shoin.ac.jp/academics/course/human/k/


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